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カリスマ性においてビャルケは圧倒的。

ダイアグラムに通ずる物事の軸を捉えた、極度に簡潔に整理された言葉には強烈な説得力があり、今でも自分の考え方に大きな影響を及ぼしています。

BIGではそこで働くすべての人間を敬愛と信頼をこめてBIGSTER(ビッグスター)と呼んでいる。過去BIGで働いていた元日本人BIGSTER達にその経験と将来のBIGSTER達へのアドバイスを語ってもらう。

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堂園有的
SAND Architects 主宰
SunnyHills 日本ゼネラルマネージャー

- BIGで働くことになったきっかけとその動機は?

2007年、BIGでインターンした時期はOMAやその門下によるダイアグラム建築最盛期でした。とはいえ、OMAのダイアグラムは難解でお高く止まった印象がある中、BIGの明快さはとても新鮮でした。

- 採用が決まってからのプロセスはどのようなものでしたか?

ポートフォリオをメールで送ったところ、その日のうちにメールでおいで、という連絡をもらいました。自分はどうしても早めに大学院を終えたかったので、3ヶ月という短期のインターンシップになりましたが、ポートフォリオの傾向がBIGの雰囲気とあっていると思ってもらえたようで、期間も特別許してもらえました(ちょうどYes is Moreを書き始める前の時期で、マンガ調のポートフォリオを気に入ってくれたとあとで聞きました)

 

- 実際働き始めてのBIGのオフィスの雰囲気や印象は?

 

圧倒的なエネルギーでした。Work hard play hardって感じで。締め切り前は徹夜する代わりに、天気の良い日は定時で仕事を切り上げ、Carlsbergのシックスパックを自転車に乗せて Kongens Haveとかで仲間同士ピクニックに行ったりと、 日本の設計事務所の雰囲気とはだいぶ違いました。Bjarkeは出たり入ったり忙しそうでしたが、事務所に来るとすぐにわかるオーラとエネルギーを発していて、圧倒されました。Bjarkeもバーベキューやインターン主催の飲み会などにまで結構頻繁に参加していて、他に経験した設計事務所とはだいぶ違う主宰像だったことも印象的でした。 

- 現地での生活はどのような感じだったでしょうか?

 

結構インターン同士でシェアハウスしてる仲間も多かったですが、自分は事務所に紹介してもらったちょっと街はずれの学生寮に入りました。夏休みの期間だったから部屋が見つけやすかったのかもしれません。平日は仕事で、休みの日は仲間とでかけていてほとんど部屋の印象はありません。昼ごはんは品目も多く、貧乏学生にはありがたかったです。

 

- 担当したプロジェクトやチームの構成、雰囲気は?

 

色々なプロジェクトに参加させてもらいました。デンマーク郊外のマスタープランのコンセプトデザインや集合住宅のSDフェーズ、小さいプロジェクトでしたが、当時インターン仲間で今はパートナーのBrianとCatとTate Modernの移動式パビリオンのコンペなどもさせてもらうことができて短期間でしたが色々な体験をさせてもらえました。インターン・社員の区別が他の事務所に比べて希薄という点もありますが、その反面適材適所を他の事務所よりも意識した人材配置だとも感じました。

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- どのようなことに日本で働くことと違いを感じたか?

 

自由な雰囲気の反面、スタッフ一人ひとりが自分でモチベーションをコントロールして、結構ピリっとした雰囲気を纏っていました。夏の終わりには大型なリストラも目撃しましたし、優秀な人とそうでない人の事務所内での立場の違いも大きく、日本の組織とは違うベクトルの厳しさもありました。

 

- 学んだこと、刺激になったこと、BIGのすごさなどは?

 

学生の頃からずっと作品以上に事務所の主宰の人となりやストーリーに関心があり、働く先も自分が興味をもった人の事務所を選んできましたが、カリスマ性においてビャルケは圧倒的でした。天性のものももちろんですが、ダイアグラムにも通ずる物事の軸を捉えた、極度に簡潔に整理された言葉には強烈な説得力があり、今でも自分の仕事における考え方に大きな影響を及ぼしています。また、今の自分よりもずっと若いBjarkeに心酔し、ある意味BIGにに一生を捧げる覚悟を持った人たちが同年代だけでなく、はるか年上の人たちも含めて多く事務所にいることには憧れました。

 

- 苦労したことは?

 

前述のインターン仲間のBrianとCatはハーバード出身で自分と同じタイミングに入社した、特に仲良くしていた仲間だったのですが、とにかく気が利くし、優秀でした。まだ社会経験も浅く、仕事とは上司の指示に従ってやるもの、みたいなヌルい考えだった自分としては先読みをして段取りし、自分のイメージするデザインの方向にBjarkeの気持ちを持っていく、みたいな仕事の仕方をすでに身につけていた二人には強烈な劣等感と競争意識を感じたことを今でもたまに思い出します。

 

- 思い出深いことなどは?

 

徹夜明け、フラフラな頭でプレゼン資料を作っていたら隣の会議室でパートナーたちと会議していた

ビャルケが突然ズボンを下げてお尻を見せてきたとき。笑 

 

- BIGで今後働きたいと思っている人へアドバイスは?

 

3ヶ月の短い期間でしたが、自分の建築家としてのビジョンに大きな影響を与えた体験でした。底抜けに楽しい体験なので、誰にでもおすすめできますが、固定観念から逸脱したり、今とは違う世の中を作りたい人にとっては、新たな視座や、考え抜く機会を与えてくれる貴重な場所だとおもいます。

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堂園有的
慶應義塾大学環境情報学部卒、米国ペンシルヴァニア大学建築学科修士。2007年にBIGにてインターン、2008年に中国のMAD、2009年から隈研吾建築都市設計事務所。2014年に、隈事務所でのクライアントだった縁から台湾のパイナップルケーキブランド、SunnyHillsの日本の会社のゼネラルマネージャーに。2017年からSAND設立。ケーキ屋さんと建築家の二足のわらじを
遂行中。

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