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インターンでも、チームの一員としてビャルケやパートナーのいる打ち合わせに参加することで、トップの熱量や思想を肌で感じることができるのが印象的でした。

BIGではそこで働くすべての人間を敬愛と信頼をこめてBIGSTER(ビッグスター)と呼んでいる。過去BIGで働いていた元日本人BIGSTER達にその経験と将来のBIGSTER達へのアドバイスを語ってもらう。

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平井雅史

noiz architects

- BIGで働くことになったきっかけとその動機は?

隈研吾研究室に所属していたのですが、先輩からBIGでのインターン経験を聞いて、自分も行きたいと思うようになりました。その後、採用にいたるまでは、先輩から小池さんを紹介していただき、ポートフォリオをインターン採用担当に見せていただいたことで、実際にインターンに行けることになりました。

また、BIGの建築は、アート・環境問題・科学など建築以外の文脈を建築に取り込もうとするので面白いと思っていて、そのプロセスや真意を知りたいと思っていました

- 採用が決まってからのプロセスはどのようなものでしたか?

一通りのビザなどの事務的な手続きに関しては、同じく日本人でデンマークのビザを取得した人のブログを参考にすることができ、比較的容易にオンラインで済ますことができました(大使館訪問は1回で済みました)。

それ以外だと、英語に不安があったので、オンライン英会話を受講したりして過ごしていました。

 

- 実際働き始めてのBIGのオフィスの雰囲気や印象は?

 

想像していたよりも働きやすかったです。というのも、わからないことは誰に聞けばよいかなどすぐに教えてもらい、逆に自分が得意なことはすぐにいろんな人から聞かれるなど、非常にオープンな雰囲気でコミュニケーションが行われていることが気持ちよかったです。

- 現地での生活はどのような感じだったでしょうか?

 

最初の1ヶ月半は借りられる家が見つからずに、ホステルで過ごしていました。男女共用のドミトリーで、同じく家を探している外国人留学生や旅行者とともに寝泊まりしていました。女子が普通に下着姿で過ごしていたり、恐竜のようないびきをかくおじさんが来たりと、いろいろショックを受けました。

その後、オンラインでルームシェアのやりとりをするサイトで数十件やりとりをした中で、日本人ということで好感を持ってくれたデンマーク人夫妻にコンタクトを取って、市街地のはずれ(メトロの終着駅)にある住宅街で、一戸建ての半地下の部屋が空いているということで、そこで暮らすことになりました。

キッチンとバスルームは家族用とは別にあり、一戸建てだがある程度距離感をもって暮らしていました。(深夜に帰宅することも多くて、逆に気を使わなくてよかったです。)

食事は、昼と夜は事務所でケータリングが出るので、朝はギリシャヨーグルトとインスタントラーメン、夜食として親子丼や鍋(鶏肉と野菜)などを作っていました。

旅行に関しては、ロンドン事務所に遊びに行ったり、クリスマス休暇を利用してドイツに行ったり、週末にオーフスやスウェーデンのマルメ、ローマなど一泊して帰ってくるなどでした。ヨーロッパ内の移動は格安飛行機で簡単に行けたので、もっと行っておけばよかったと思います。

また、デンマークはフィットネスが盛んで、自分も筋トレをするためにジムに通っていたのですが、たまたまIT担当のスタッフと出会ったりして、コミュニケーションする場所が増えたのが嬉しかったです。

 

- 担当したプロジェクトやチームの構成、雰囲気は?

 

インターンが始まって最初の1か月半は、サウジアラビアのマスタープランのチームで働きました。パートナーからインターン合わせて10人程度のチームで、それぞれのアーキテクトが道路から建物ヴォリューム/デザインの検討をしているのを、インターンが都度手伝うという感じでした。特に自分はRhinocerosとGrasshopperがある程度使えたために、都市スケールの検討において反復作業を効率的に行うスクリプトを作成したり、レンダリング用の3Dを作成するなどの作業が多かったです。

サウジチームがロンドン事務所に移動になったことから、その後は主にパリのコンペに参加しました。

数戸の住宅と商業施設のスケールの小さいコンペで、チームとしては基本パートナー1名、アーキテクト2名、インターン3名の6人体制でした。

日本に留学経験のあるフランス人のプロマネによくしてもらって、形のアイディア出しに参加したり、プレゼンの動画制作まで任せてもらえました。

特に、動画に関してはサークルで動画編集した経験があって、シークエンスのつなぎ方やソフトの使い方など少しだけかじっていたのが役に立ちました。

動画の音に関して、ビャルケが映画インセプションのテーマ曲を使いたいといったとき、映画の中のパリのシーンと、コンペのコンセプトがばっちりはまる瞬間があり、感動したのを覚えています。

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- どのようなことに日本で働くことと違いを感じたか?

 

土曜日に出勤して仕事を終えてクラブに行くとか、金曜の夜に他の建築事務所のパーティーがあるからみんなで参加するとか、ビャルケの公演があったら業務を早く切り上げて参加する、また定期的に事務所全体で外部から建築家を呼んでレクチャーの場を設けたり、インターン向けのソフトの使い方のレクチャーがあったりと、とにかく大人数で一緒になってたくさん働いてたくさん遊ぶというカルチャーが思い出に残っています。

また個人的に、大学時代にストリートダンスのサークル活動をしていたので、クラブでダンスしたりしてチームメンバーと打ち解けられたのもよかったと思います。(ポップダンスやロシアのコサックダンスなど結構踊れる人がいて面白かったです。)

 

- 学んだこと、刺激になったこと、BIGのすごさなどは?

 

ビャルケが全体に対してスピーチする機会があり、「クライアントの要望に答えるだけではデザイナーであり、クライアントの要望を超えて、もっと広く社会/科学/芸術にも答えるような提案をするのがアーキテクトである」といった趣旨の話をしていて、非常に心を打たれたのを覚えています。

そして、それは日々ただボスや上司から言われたことを仕事としてやるだけでなく、その倍以上のアイディアを検討しようとするBIGSTERの姿勢から積みあがって形になっているのだなと気づかされました。

そのために、チームとしてある程度の人数を確保してアイディアを3Dや模型としてすぐに検討できる環境や、みんなで盛り上がりながらハードワークできる環境だったり、わからないことがあったらすぐにわかる人や得意な人に聞きに行くことができる環境が整っていて、BIGの組織としてのすごさを垣間見ることができました。

 

また、ランチは社員が一堂に集まって食べるので、日常的に建築だけではない様々な話をする機会があったり、週末にはクラブに行ったり、定期的にパーティーがあるのも全てがBIGの建築に繋がってると感じられたのが学びでした。

 

- 苦労したことは?

 

英語でのコミュニケーションとして、少人数で業務のことを話す時は聞き直したりできるのですが、大人数での打ち合わせだと聴き直しができなかったり、建築以外の話は単語が分からなかったりするので、とくにリスニングをもう少し訓練しておけばよかったなと思いました。

 

- 思い出深いことなどは?

 

インターンという立場でも、チームの一員としてパートナーやビャルケのいる打ち合わせに参加することで、トップの熱量や思想を肌で感じることができるのが印象的でした。

 

- BIGで今後働きたいと思っている人へアドバイスは?

 

日本にいて英語のコミュニケーションを上達させることはハードルが高いと個人的には感じていて(いろんな国のなまりとかは実際にコミュニケーションしないと訓練できない)、それ以外のスキルを身につけているとキャラクターとして覚えられやすいかと思います。

特に、デジタル技術やプログラミング、3Dソフトウェア(Adobeはみんな使えて当たり前なので、Rhino+GHを極めるとか、BIMやゲームエンジンが使えるなど)を勉強していると、重宝されるのではないかと思います

また、日本の建築家がリファレンスされることも多かったので、日本の建築を勉強して、すぐにいろんなリファレンスとしてアイディアを出せるなど知識も大事かと思います。

 あとは、個人的には、ストリートダンス・動画編集・筋トレなど一見建築に役に立たないことでも思わぬところでコミュニケーションの輪が広がったりしたので、建築以外でも自分の興味あることを楽しめばいいと思います。

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平井雅史

東京大学工学部建築学科、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻隈研吾研究室卒業。

2018年に6ヶ月間BIGコペンハーゲンでインターンを経験。現在は東京でnoiz architects勤務。

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