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Q1: 世界で一番好きな建築は?

 

A: シドニー・オペラハウス。エッフェル塔やピラミッドよりも認知度が高い。実は、壮観な階段がパブリックな場所を生み出していて、オペラを見に来た人はもちろん、オペラに興味のない普通のシドニー市民もその人工的ランドスケープを使うことができる象徴的な建造物です。

Q2: 建築家を目指す人にお勧めの一冊は?

 

A:マヌエル・デ・ランダの「A Thousand Years of Nonlinear History」という本がおすすめです。地質学的歴史、生物学的歴史、そして3つ目が言語学的歴史で、鉱物、政治文化、都市の進化などを網羅した3部構成の歴史書です。

Q3: 実用的なユートピア建築を目指すBIGにとって、理想の都市とはどのような場所なのでしょうか?

A: ニューヨークの密度と多様性、バルセロナの景観と気候、コペンハーゲンの気軽な利便性を併せ持つハイブリッドな都市(私がこれまでに住んだことのある3つの都市で、すべて楽しんでいます!)。

Q4: あなたがクリエイティブだと思う人は? 

A: 作品や表現を通して、世界観を広げてくれる人。画家や写真家が世界の一部(光、状況、条件、色)を、作家が人間の生活や社会について、それまで気づかなかった側面を一度表現したら、作品を見た後でもその概念を忘れることはないでしょう。科学、音楽、哲学、建築などについても同じことが言えます。いったん注意が喚起され、アイデアが植えつけられると、それは自分の一部となり、今後の世界との関わり方の一部となるのです。チャールズ・ダーウィン、ダグラス・クープランド、フリードリヒ・ニーチェ、クリストファー・ノーラン、レイ・カーツワイルなど、数え上げればきりがありませんが、多くの人が自分に影響を与えてきました。

Q5: 若い人へのアドバイスをお願いします。

科学と同じように、建築も一種の仮説と演繹的な実験のようなものです。すべての課題をこなそうとする必要はありませんし、すべてのカリキュラムをこなす必要もありません。気に入ったものがあれば、それがどこから来て、どのようにしてそれに成ったのか、その背後にあるアイデアは何なのかを自分なりに思考することが大事です。

Q6: クリエイティビティをどのように定義しますか?

創造性とは、生命をこの世に送り出す能力です。新しい組み合わせで物質を構成することで、他の方法では不可能だったような生命の可能性を切り開くことです。建築家にとってそれは、社会構造や物理的環境から押し付けられた空間ではなく、私たちが望むような生き方ができるような物理的な枠組みを作ろうとすることを意味します。私はコンピュータープログラミングにおける「複雑性」の定義が好きです。複雑(Complexity)さとは、最小限のデータで最大限の情報を伝達する能力こと。つまり、より少ないデータでより多くのことを表現することです。私たちが目指しているものも最小限の手段で、人間の表現の自由度を最大限に高めることです。

Q7: 最も期待している技術革新は何ですか?

私が最も期待しているのは、3Dプリンティングやロボットによる建設などです。過去25年間で、米国の製造業の生産性はほぼ2倍になりましたが、建設業はほぼ横ばいです。3Dプリントされた建物や都市を大規模に提供することに成功すれば、ある種の変曲点に到達し、平等性が高まるでしょう。コストは下がり、私たちのアイデアはすべて、データから物質へ、デザインから現実へと、誤訳されることなく変換できるようになるのです。そうなれば、良いデザインに割高感はなく、重要なのは建物の重さ、印刷にかかる時間、実現するために必要な媒体の量になってきます。そういう意味では、ローマの教会とゴシック様式の聖堂の違いに似ていますね。ゴシック様式の大聖堂は、より少ない材料でより高いものを目指しています。3Dプリンターが主流になれば、未来の都市は、今の建築と呼ばれる箱の集合体から、近未来の大聖堂のような建築群になってくでしょう。

Q8: 自身を一言で表現すると?

「共感性」です。

Q9: ソーシャルメディアで強い存在感を示していますが、今日のソーシャルメディアの役割は何だと思いますか?

 

物事を成し遂げるためには、優れたコミュニケーターである必要があります。建築の基本的な側面は、建築が資源を大量に消費する芸術形式であることだと思います。もしあなたが画家なら、絵を描けばそれだけで十分ですが、建築家なら、6、7年後にその建物が自らを語れるようになるまで、あなたがその建物の代弁をしなければならないのです。誰がそれを聞いて、誰がそれに反応するかなんて、誰にもわからない。自分が何に興味があるのか、常に明確なメッセージを持っていれば、その興味を共有する人たちがそれを聞いてくれます。そのような人々とのつながりを作ることにSNSは力を貸してくれます。。

Q10: OMA, レム クールハースから何を学びましたか?

コールハースは、私がデンマーク王立芸術アカデミーに在籍していた頃から、私に大きな影響を与えてくれました。彼なくして今の現代建築は考えられません。彼は、単体の美しい建物をデザインすることよりも、建築をツールとして開発、政治、社会構造などに関与し、さまざまな表現手段を自由に実現する方法を教えてくれました。彼にとっての建築とは、美学ではありません。建築はスタイルによってではなく、アイデアによって動きます。

BIGの建築は、決して一つの出来事によって引き起こされたものではなく、また一人のアイデアによって形作られたものでもないのです。個人的な意図や純粋な理想を直接具体化したものでなく、社会を流れる複数の力への継続的な適応の結果なのです。建築家は都市をコントロールすることはできず、介入することを志すのみです。建築は、政治的、経済的、機能的、物流的、文化的、構造的、環境的、社会的な利益と、まだ名前のない、予期しない利益との衝突から発展するもの、そんなことを教えてもらいました。

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